手紙事件

 息子の宿題に、国語の教科書に載っている物語の登場人物にあてて手紙を書く、というものがあった。家庭訪問中なので、早く帰ってきた息子は、部屋にこもりはじめた。

 普段はリビングでささっとこなしている宿題だが、手紙という宿題は彼にとっては難題なのだ。他の家族にジャマされたり見られたりしたくなかったらしい。それが午後2時くらい。

 それからわたしは仕事に出かけて、帰ってきたら。なんと一行もかけてなかった。ご飯とかお風呂とか以外の時間はただ便箋とにらめっこでもしていたのかしら。8時半ごろ、父さんとピアノとか弾きながら「母さん・・手紙かけんかった・・」って

 しょうがないので、「じゃあ、出来ませんでしたって先生に言えばいいじゃん」と応えたところ、半泣きだしね。

 書けないのは書けないのだが、宿題ができてないっていう事実は彼のプライドが傷つくんですよ。ヘンなところで几帳面だからさ。

 かーさんにはわからん。ちょいちょいって書けませんか?てきとーに。と腹の中で思うものの、ヒトには向き不向きがあるからなあ。と真面目にどうしようか考えて。かーさんはそういうのすげー得意だったんだけどなあ。


「本当にいない人に手紙なんか書けん」という息子に、物語の中で、登場人物はいろんなことを考えて行動してるでしょ? だったら本当に居るように想像できるじゃないですか。と「指導」らしきものを試みてみるも。時間は刻々と過ぎて、9時45分。もういつもなら寝ている時間だ。それでも息子の筆は進まず。

 仕方ないなあ。「じゃあ、手紙なんか書けんということを書け」というところで話はついた。ちゃんと理由といくら考えてもダメだったことと、泣いてしまったことと、全部書け。

 それでやっとこさ、宿題をカタチにしました。10時半就寝。

 先生の反応がとても気になる今日この頃です。

 それにしてもなあ、息子、日記の宿題は結構簡単にこなしてるから、別に作文が苦手なわけじゃないんだよな。多分。本当にあったことや説明文は書けるけど、自分が感じたことを文章にするのが出来ないんだ。読書感想文とかまったくだめ。

 そういえば、前に私や妹の小学校一〜二年の頃の作文が出てきたんで、今の子供たちのと比べてみたんだが。明らかに、作文の不得意だった妹のものでさえ、今の子供たちのよりはレベルが明らかに、はるかに、上。作文という学習においては、今よりも昔のほうがよかったんじゃないかという結論に達したのでした。そのかわり、算数とかは今の方がいろんな考え方を教えてくれるので、子供に理解力が備わると思うの。

 つーか、今と昔、何が違って、今の子はこんなに作文ができないんだろう?